ミュージカル白爪草大好きオタクになったので久しぶりにブログ更新します。(7回観ました。)
全体的な感想としては、唯月さん屋比久さん演じる双子姉妹の紅と蒼からつむがれる綺麗で不気味な曲たちのリプライズが秀逸でした。紅の台詞を借りれば「絡まって取れない」感情がビシビシ伝わってくる。曲や言葉の繰り返しによって、双子が6年会っていない間に拗らせた感情が鮮明になっていく構成が見事だった。客席が四方向にあって、舞台は中央にひとつと各ブロック間の通路にある小物スペースで、演技を間近で見られるため圧倒的な没入感がある。あと、なんと言っても双子を演じる2人が上手い。
以下、備忘録的な書き殴りのためネタバレを含みます。というかほぼネタバレです。
この舞台の演出はすごい!!!
ミュージカルを通じて心がどんどん楽になっていく
(蒼の日記ぽく)
それはさておき。会場に入った瞬間にまるで本物の花屋かって思うほどの作り込み。(華やかな花屋か!)生花を使っているそうなので匂いからも華やかさがある。
舞台を360度取り囲む客席で役者の2人がガンガン通路を通る。普段は1000人規模の箱でミュージカルやっている役者の演技を間近で観られるなんて贅沢すぎる。本当に運が良かった。
楽器はピアノだけでSEと画面演出が加わる形。マイクはあるけど2人の生声が普通に聞こえる。耳が幸せ。
客席の緊張感もすごい。お腹がなったり、唾を飲み込む音さえ煩いと感じるような静寂の中で繰り広げられる繊細な物語で圧倒的な没入感が大好き。
開演3分前くらいに屋比久さん演じる蒼がヌルッと出てきてビビる。ここから既に楽しい。
観劇1回目はいつから居た?ってなる楽しみがあって、2回目以降だと見ているモノに意味があるって気付くような作りになっているのが凄い。
桃井さんの注文ヨシ、舞台上の花束ヨシ(イケてる!)、金木犀というか父に挨拶ヨシ、紅茶ヨシ(コンカイ ハ ドクイレナイヨ)、紅のブローチヨシ、ドクニンジンヨシ。
この段階で伏線張りすぎじゃないですか?劇中の行動全てが伏線では?というかこれ以降で気付いてない伏線が無限にありそうで怖い。
開演後すぐ、客電が暗くなって蒼がヌルッと歌い出す。客席と舞台の境界がほぼ無いのと同じように、開演の境界も無いように感じた。一気に引き込まれる。「出来るかな降ろせるかな」「荷物をおろすこと」って歌・台詞で言っている。観劇1回目だとふーんって感じだけど、2回目以降だと蒼の日記の「私の罪を背負おうとしてくれているのでしょうか」という考えが分かっているから怖い。
全体的に観劇1回目だと紅の思い通り物語が進んでいると感じるが、2回目以降だと全て蒼の掌の上だと感じて見える景色が全然違った。蒼の視点が分かるといろいろ確かめたくなって、通ってしまいました。
紅が登場しての第一印象は「なんやこの女」って感じなんだけど、蒼の視点からすれば紅の行動から「すべて見透かされている気がする」のはとても分かる。紅が「彼氏いるの?」と聞いてきて顔で嘘か本当か見分けてくるのは最初の"見透かされポイント"なんだけど、観劇2回目以降の"見透かされポイント"は紅がドクニンジンに触ろうとするし、金木犀のフレグランスについて聞いてくるし、紅茶に毒が入っていないか執拗に聞いてくるし、やたら察しが良く見える。ドキドキする。
ここは舞台を映しているモニターの演出も好き。静止画と動画の合成的な(?)映像で、時間が止まってる紅と考えを巡らせる蒼がよい。
あとは、華やか花屋か、老いて枯れて置いてかれる、で少し笑えるのだけが救い。
蒼の歌う曲でホトトギスの花言葉は「永遠にあなたのもの」って「ちょっと重い」どころではない。このあとも「永遠にあなたのもの」ってリプライズが付き纏う。このミュージカルのリプライズに対しては付き纏うって表現がピッタリな気がしてる。花屋で働けて「運が良かったの」も最後に蒼の日記でそういうこと⁉︎ってなってよい。あと、ホトトギスの花は「紫色の斑点が鳥のホトトギスに似ている」らしいが、ドクニンジンのwiki読んでたらドクニンジンにも斑点あるらしい。
また、紅が台パンで蒼曲をキャンセルしてくる時の台詞で「臭くないところにも群がるんだね、小蝿」ってあるけど、蒼視点からすれば、もしかして花の香りで血の匂い隠せていない?ってビビるよね。すぐに紅の仕事の話に変えるし、これも「全て見透かされている気がする」ポイントと思う。
個人的に最高の思い出は、Bブロックに座った時に「ホトトギスはどうですか?」って近くで勧めて貰えたことです。(2列目だけど幸せでした。)
『雑草』で紅の感情発露タイムが始まる。好き。紅のテンションの基準はこの曲に置かれている気がする。上映会で見た映画版だと紅はもう少し落ち着いた印象だけど、ヒグチアイさんの楽曲で紅の攻撃性が高まっていると思う。「呑気に草生やして」ってワードめちゃ好きだし、「踏みつけて」ってところで机から飛び降りるのも好き。
曲のあと紅から「姉が殺人犯で」イジメられなかったか聞かれるが、ここでも顔で見透かされポイント。
双子の思いが近づいては離れての繰り返しで結局、絡まっているし、鏡だし、で全部繋がっている。前半で蒔かれている伏線が見事すぎて感想のほとんどが前半になってしまった。
後半は伏線が曲で繋がっていく気持ち良さがずっと続く。
ここまで書いて疲れたので、後半の感想はもう少し元気ある時に書くかもしれないし、書かないかもしれない。
とりあえず、それぞれの曲の感想。感想を載せない地獄、とりあえずの感想を載せる地獄、どちらの地獄がましなのか選べなかったので書くことにした。
『花歌』
何度も何度もリプライズされる、双子という存在を鏡に写る人に見立てた不気味綺麗な曲。綺麗すぎて逆に感想を書けない。
各所に配置されたモニターが鏡の役割を担っていることが多くて、普段生活していたら忘れてしまいそうな美しいものに対する不気味さや鏡そのものに対する不気味さが際立つ演出が良かった。
『絡まった蔦』
一番好きな曲。「だから今日もらいに来たの、蒼」からのたたみかけが素晴らしく好き。
ヒグチアイさん屋比久さん唯月さんの3人アフトクで唯月さんが「まるで蔦(つたぁ⤴︎)」の上がるところで来たぁぁぁ!ってなると言っていて共感しまくりオタクです。
演出は花を刺しまくったり、緑のリボンを絡ませたりするからハプニングが起きやすくてリピーターにはありがたい。(こういう考え良くないと思うけど好きなんだものハプニング)
『プリザーブドフラワー』
「綺麗なまま」というフレーズが綺麗すぎる。「綺麗なままじゃいられない」からの「そんなの綺麗事」のつながりも綺麗。蒼のことを汚い人間と言う紅、これも蒼からしたら見透かされているような気がする。
『咲きすぎた蕾』
「双子で生まれた意味」を問題提起する曲。紅の答えは「そんなものは無い」ので片方を「切り落とさないとね」。蒼としては日記に書いてあるように蒼が「罪を犯したら、紅がそれを償う」という答えが出た状態で歌っているのが恐怖。
『四葉のクローバー』
この曲で一気に説得力が増す。双子の見えてる景色が全然違うことが語られる。画面の演出が凝ってた。白詰草の花畑感があったりら紅が殴られるところで鏡が割れたり。
『白爪草』
日記。無音から歌い出す緊張感たるや。舞台解説ツアーで日記を全部撮らせてもらった。屋比久さんの手書きらしい。曲が10分近くあるけど後半の『裁かれなくてはならない』の迫力すごかった。